お知らせ - 棚井文雄会員に聞きました。「どれがデータからの印刷か」 2011年6月6日掲載
 No.334棚井文雄会員の作品「Signs」がアサヒカメラ2011年6月号の巻頭グラビアに掲載されたことは皆様ご承知の通りで、棚井会員から届けられたリポートもこのコーナーに掲載しました。

 そのリポートの中に「6ページ分をプリントから、2ページ分をデジタルデータから印刷」とありましたので、参考までにと思い、どれがデータからの印刷で、どれがプリントからの印刷なのか、No.724田村が聞いてみました。

── 撮影はすべてフィルムですよね?

棚井「そうです。ネガをスキャンしたデータは全部あったんですが、プリントは6点分しかなかったんです。」

── 全部デジタル入稿でも良かったのでは?

棚井「仕上がり見本を添付できるならそれでいいんですが、打ち合わせもままならないような状況でしたし、プリントがある分は現物で入稿した方がリスクが少ないので。」

── どれがデータ入稿の分ですか?

棚井「デジタルデータから印刷したのは、P56 studentと、P62 soldierのそれぞれ部屋の写真2点です。他の6点はフォルテのウォームトーンペーパーに焼いたプリントから印刷しています。アサヒカメラの誌面は、モノクロは若干赤みよりになるようなので、オリジナルプリントに近い仕上がりになっているのではないかと思います。」

── ベッドが写っている方ですね。

棚井「そうです。」

── 言われて見比べてもわからないですね。

棚井「ええ、いい仕上がりになったと思います。実はいろいろな方から同じ質問をいただくんですが、デジタル・銀塩の話だけではなく、シリーズ『Signs』を見ていただいた方々に、写真の本来持つ力について改めて考えて下さるきっかけとなればいいな、と思います。」

── せっかくなので、作品コンセプトについて一言どうぞ。

棚井「じゃあ、文章にしたものがあるので、送ります。」

* Signs *

 インターネットによって世界が自在に繋がるように見える現代、人間の存在と場所との関わりは人類共通の大きなテーマとなり、アイデンティティーはその人が実際に生活している場所と直接的な関係があるのか、改めて考えさせられるようになった。

 私は2005-2006年、ロンドンに住み、移民を中心に約100人を、その人の住む部屋と共に撮影した。被写体となる人物には、椅子に座り斜め正面を向いてもらう。この方法では、撮影は法則化され、表現の自由は制限されるが、それらの映像を比較可能にし、その部屋は、まるでその人の抜け殻のように、また、自由と不自由(束縛)の中で暮らす人々のあり方のようにも見える。
棚井文雄